2008年 11月 19日
あの時代のふたつの映画「共同性の地平を求めて」「特攻任侠自衛隊 」 |
「あの時代のふたつの映画」
「共同性の地平を求めて」& 「特攻任侠自衛隊 」2本の映画を上映します。
当日上映前に、監督 (能勢伊勢雄氏、土方鉄人氏) 挨拶と
KAIZOKU(休みの国=高橋輝幸)ミニLIVEを予定しています。
2008/11/17(月) 6:00pm開場 6:30pm開演 ¥2.300(1ドリンク付)
ペンション南伊豆小館 〒415-0303 静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂8 電話 0558-62-0471
2008/11/19(水) 6:00pm開場 6:30pm開演 ¥2.300(1ドリンク付)
河津栖足寺 (セイソクジ)本堂 〒413-0515 静岡県賀茂郡河津町谷津256 電話0558-32-0896
アクマストッキングの共同性
日本初のインデーズレーベルURC(アングラ・レコード・クラブ)から「休みの国(高橋照幸)」の最初のアルバムが発表されたのは1969年。『叛乱の時代の虚無を歌った「第五氷河期」「追放の歌」で、フォーク・シーンに衝撃を与えた休みの国初のアルバム。バックの演奏は和光大の仲間ジャックスが担当。1969年6月発表。』と現在アルバムの販売権を持つエイベックスの解説にある。現在南伊豆町に住む高橋の曲を、主題歌、挿入歌に使った映画ふたつをカップリングして伊豆で初めて上映します。ひとつは監督能勢伊勢雄「共同性の地平を求めて 68/75 荻原勝ドキュメント」そして、監督土方鉄人「特攻任侠自衛隊」。後者には主題歌だけでなく出演もしている高橋は、その他にも「ランボー家の戦争」主演三上寛、監督土方鉄人1990や「開運!なんでも鑑定団」で知られる「ゴジラや」木澤雅博が監督した映画の音楽なども担当している。
「叛乱の時代」の波に乗り遅れた世代にあたる私は、70年代半ば「戦争(60年代の学園紛争)を知らない子供達」として故郷を離れ、しらけきった学園生活とのっぺりとした一地方都市の風情に、ある種の焦燥感を押さえきれない日々を送っていた。そんな時に出会った映画があった。
それは、数年前の学園紛争の敗北感と虚無感を正面から受け止め、あの時代を体験した世代にとっての「個人の精神史」として冷徹なまでに「普遍的な尺度」と照らし併せ、表現闘争とも言われたその状況を、そのようなもうひとつの側面から描いた映画だった。
その視座はドキュメンタリーとして水俣を撮った土本典昭や三里塚の小川紳介の視線ともまったく違っていた。あくまで作家の個人史を主語として、人と人との関係性の可能性という普遍的な問題を、共同性という切り口で静かに深くしかし熱く観客に問いかけるフィルムだった。個人の日常からしか最終的には状況という幻想には立ち向かえないという、自然の摂理とも言うべき現実を示され、ハイティーンの私は衝撃を受けたのだった。「モーレツからビューティフルへ・・・」幻想から日常へ、外部から内面へ、時代が動いていたのとシンクロするかのように・・・。
ポスターには、ドキュメントはメディテーションであるという見解のもと、「ドキュメディテーション」という造語がサブコピーとして使われ、20世紀最高の覚者の1人であると言われるクリシュナムルティの言葉「瞑想とは総てを完全な注意をはらって見つめる心の状態である。」が象徴的にデザインされていた。そしてカメラは当時岡山大学造反教官と呼ばれたドイツ語講師荻原勝が1975年に大学自ら去るまでの日常を追い、音は彼のモノローグ(独白)を中心に、アングラ(アシッド)フォークと呼ばれた早川義夫(ジャックス)、休みの国(高橋照幸)、遠藤賢司、高田渡、の唄が映像とせめぎ合い、時に寄り添っていた。休みの国「第5氷河期」が醸し出す祭(政治の季節)の後の乾いた空気感とパースペクティブ。ジャックス(早川義夫)の孤立と視線。遠藤賢司の熱と加速度。高田渡の間(ま)とウィット。
監督能勢伊勢雄は1974年OPENのライブハウス岡山PEPPERLAND(ペパーランド)のオーナーでもあり、そこでは音楽に限らず映画、演劇などあらゆる表現活動に場を提供していた。土方鉄人監督の「特攻任侠自衛隊」もそこで出会った。
アンダーグラウンド・フィルムいう呼び名は本来「スコルピオ・ライジング」「ルシファー・ライジング」で名高い監督ケネス・アンガーの言葉「血の色をした映画」という意味のものだったという。しかし現在国内では自主映画(インディーズ・ムービー)は単に非商業映画全般やアマチュアの同人作品をさすことが多い、この現象は音楽業界でも似通っている。誰も見た事聴いた事の無いイメージ(=血の色をした映画)とは常に最初はマイノリティなものだ。
(文責Phuzy、文中敬称略)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「共同性の地平を求めて」68/75 荻原勝ドキュメント B/W 120min 1975年
編集・監督 能勢伊勢雄
製作 U.M.U.創造論理空間研究会、
ペパーランドアンダーグラウンドシネマディクト
協力 森脇忍、馬場正義、伊沢辰夫、池田庄吾、藤原淳一、
岡田政己、丸山徹、能勢慶子
ナレーター 島田博
フィルム提供 飯田隆
クレジットプレゼント 松岡正剛
音楽 早川義夫、ジャックス、休みの国、遠藤賢司、高田渡、山口正治
ーーーーー「山形国際ドキュメンタリー映画祭'95」公式カタログより
1969年に頂点を迎えた「大学紛争」。いわゆる造反教官の一人として岡山大学を辞めていくドイツ語教師、荻原勝。彼が日常の日々の中で彼自身の感想、批評、哲学を「共同性」「関係性」をキーワードに語り始める。全体は3つのロールに分かれており、第一部は紛争から孤立へ、第二部は孤立から関係性へ、そして第三部は宮沢賢治を媒介に共同性について、そして荻原退官後、スタッフでもある伊沢辰夫が敗北について語る。
当時のバリケードの中側からの視点、映像が見られる貴重なフィルムであるばかりでなく、「政治の季節」と俗に言われたあの時代の状況を「人と人との関係性の問題という普遍的な問いに照らし合わせて検証する」という視座を示した唯一の作品。です。
「特攻任侠自衛隊 」16mm B/W 80min 1977年
製作 飯島洋一
監督 土方鉄人
脚本 長谷川健治郎 / 小島光二 / 飯島洋一
撮影 小野優
音楽 高橋照幸
出演 飯島洋一 / 山岸勉 / 土方鉄人 / 三橋修 / 和沢昌治 / 佐藤重臣
タイトル画像→youtube
ーーーーーあらすじ 北方のサケ・マス漁場を巡り北の蛮国ケロスと日本政府が一触即発の事態を迎えている最中、ゲリラ化した自衛隊内の親ケロス派分子が中部山岳地帯に集結していた。これを秘密裏に討伐せんとする防衛庁は警務隊安藤二尉(土方鉄人)に命じて社会の落ちこぼれを集めて特攻部隊を組織させた。博徒組長の花井(飯島洋一)等は2ヵ月の猛特訓の後優秀なコマンドとして成長し、遂に反乱軍の潜む山岳地帯へ出撃する。だが、そこは次々に友軍が全滅していく地獄であった。
邦画史上最大の自主制作映画『戦争の犬たち』を後に手がける飯島+土方のコンビが騒動社時代に撮った作品。
KAIZOKUさんも出演しています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Total information INTERLOID phone&fax 0558-62-3665(藤原)
by interloid
| 2008-11-19 18:30
| アート